四季の窓辺3


2022年12月

今週のクロイツ

私が小さいころ、学校へ通う道で
ごく普通にヤドリギが見られたので
そんなもんだと思っていたら
決して当たり前ではなかった。
でも、八ヶ岳山麓に引っ越してみると
近くの林の中をちょっと歩けば
サクラやズミ、白樺など、当たり前のように
こんもり丸い鳥の巣みたいな
ヤドリギを見ることができる。
 *
原村の八ヶ岳自然文化園は
ヤドリギの宝庫だ。
落葉樹に寄生するヤドリギは
常緑だから、冬にはよく目立つ。
オレンジ色の実のアカメヤドリギもあるし
常緑じゃない、つまり落葉して実だけになる
ホザキヤドリギもある。
裸木なのに黄色い花?と思って近づいたら
ホザキヤドリギだった。
我が家のズミにもヤドリギ、来てくれないかなあ。


2022年11月

今週のクロイツ

華やいだ秋は逝き
見事な枯葉のじゅうたん
木は裸になり
まわりは明るくなった。
頂に雪を乗せた峰々
キーンと音がするような
冬が近づいてきた。
どんなに寒くても
もう以前ほど驚かなくなった。
冬だもの
寒いのは当たり前
身も心も冬仕様に馴染んでいく。
空の青さ
光のまばゆさ
薪のはぜる音
揺らめく炎
この季節だからこその楽しみ。


2022年10月

今週のクロイツ

晩秋、華やぐ森を歩きながら
思い出すのは
以前住んでいた家のケヤキ
見事に黄葉したあと
すさまじい落葉は
道路も、向かい側の家にも侵入
住宅街では身も心も縮みます。
 *
それを思うと
なんと今は気楽でしょう。
カラマツやモミジの落葉で
道路の半分が埋まっていても
それは当たり前
 *
その実が落ちて葉が落ちて それから芽が出て 花が咲く
そうして何べんまわったら この木はご用がすむかしら
と、金子みすゞさんの詩の通り。


2022年9月

今週のクロイツ

ある朝、目覚めると
森の中はひっそり静まり返っていました。
いのちの流れは
明らかに方向を変えたようです。
 *
カラマツもなんとなく色づいて
そう遠くないうちに
金色の雨を降らすことでしょう。
時折、見かけたアサギマダラも
そろそろ南へと
旅立つ頃。
 *
夏の間、繁った葉で
遮られていた視界が
徐々に開けて
木の間越しに
山々が姿を現す季節、
あっという間に
涼しいを通り越し
早くも隣家の煙突からは
薪を焚く煙が・・・


2022年8月

今週のクロイツ

うだる蒸し暑さとは無縁の夏でした。
冬の厳しさを差し引けば
当然かもしれません。
快適すぎる夏を
享受した私をゆるして、と
高くなった空を見上げ
そうつぶやきます。
 *
この夏に生まれた
シジュウカラやジョウビタキの
幼鳥たちが枝に止まっています。
初お目見えの頃に比べると
ずいぶんスマートになったこと。
 *
カラマツやサクラが葉を落としはじめ
足元にはフウロソウの可憐な花、
夕暮れ時、日差しが部屋に
差し込むようになりました。


2022年7月

今週のクロイツ

早々と梅雨が明け、
無邪気に夏だ!夏だ!とは
言い難かった7月も終盤、
まばゆい夏空が広がりはじめました。
 *
井戸尻遺跡には、
これまで何度も来ているのに
なぜか雨や曇りばかり。
でも今日はいい天気
山々もよく見えます。
 *
焼けつくような太陽の下
地と天を繋ぐかのように
泥の中から茎をのばし
美しく咲く蓮の花
しんと静かな夜明け
朝露を抱いて咲くさまを
ぜひ見てみたい。
(井戸尻史跡公園の大賀蓮)


2022年5月

今週のクロイツ

初めてここを訪れたのは
早春だった。
芽吹きの気配もなく
湧き水だけが
陽の光の下で輝いていた。
5月
目覚めるとはこういうことか
息を吹き返した木々の緑が
訪れるたびに色濃くなっていく
零れんばかりの緑に
全身が染まってしまいそう
こんな場所に身を置くと
なにはなくとも
うれしい気がする。


2022年4月

今週のクロイツ

暖かな日差しに誘われて、
ふと思い立って井詰湧水へ。
静けさ、というしかないほど
美しく整った赤松の道に入り
車を停めて、しばらく歩くと
すぐに湧水の小さな道標がみえる。
その坂を下りてゆけば
井詰湧水だ。そして
樅の巨木がある
湧水をのぞくと
くるくると砂が小さな渦を作り
澄んだ水が湧いている。
辺りは湿地のようになっているから
気を付けないと足を取られる。
せせらぎにまばゆい日の光
山葵の柔らかな緑
枝を鳴らす風の音
樹齢500年といわれる樅の巨木
この空間をどう言葉にしたらいいのだろう。
ただ目を閉じて、感覚に身を委ねる。

今週のクロイツ2

雨が上がり雲が吹き飛ばされた
なんていいお天気!

くっきりと姿を見せた富士山を背にして
原村の八ヶ岳自然文化園まで
車を走らせる。
せっかくこの地にいるのだから
植物観察をしよう。
この季節はカタクリが満開のはずと
園内を歩く。
セリバオウレンは終わっていたけれど
カタクリは今が真っ盛り。
まるで落ちてきたピンクの星々が
羽を休めているよう。
はかなげな様は春の妖精~スプリング・エフェメラル
* * *
思いがけず水芭蕉の群生にも出会う。
円柱状の花を仏炎苞と呼ばれる純白の苞が包む。
開いたばかりの苞の内側は
花序の凸凹が写し取られて模様みたい。
水に映ったおひさま、キラキラ
すべてが輝いて見える朝


2022年3月

今週のクロイツ

毎朝、デッキに栗鼠がやってくる。
今年は1匹だけだ。
冬の栗鼠は、茶色くて耳毛が長い。
(夏には耳毛は取れて手足が赤くなる)
エサ入れにしている日時計のくぼみに
ヒマワリの種を入れる。
その音を、どうやら近くて聞いているらしい。
ガラス戸を閉めて振り返ると、
もう栗鼠がいる。
すぐそばに!!
* * *
我が家のデッキでは、栗鼠は最強だ。
鳥の仲間では絶対王者のイカルでさえ
栗鼠には遠慮する。
ヒマワリの種を1つ取っては両手で挟んでモグモグ
その間、鳥たちは近くの枝々に止まって待つ。
ほぼ30分、やっと朝食が終わる。
* * *
栗鼠が去るとイカルの番だ。
多いときは20羽を越える群れで来て
ギャアギャアとにぎやかに鳴きたてる。
そこにアトリやカワラヒワも混じる。
あまりにうるさいので、ちょっと窓際に寄ってみると
一斉に飛び立って避難する。
* * *
ところが、いつものことだけれど
みんな飛び去ったはずなのに、
平然と餌をついばんでいる鳥がいる。
イカルの半分ほどの小さなカワラヒワ、
「アンタ、大物だね」


2022年2月

今週のクロイツ

梅の便りも届き始めたというのに
ここしばらく大地を見ていない。
雪で覆われてどこもかしこも真っ白
息を吸うと、胸の中が凍りそう。
* * *
これだけ雪が降ると
さすがにエサが見つからないのだろう。
朝、エサ入れを置いたとたん、
デッキは鳥たちでごった返す。
常連のヤマガラ、コガラ
シジュウカラ、ゴジュウカラたちは
ヒマワリの種をくわえると
素早く順番待ちをしている仲間と交代、
近くの枝に移ると上手に足で挟んで中身をついばむ。
ところが、アトリやイカル、カワラヒワなどのアトリ科は
群れをなしてやってきては陣取り、見事に食いつくしていく。
そこにシメやガビチョウ、冠羽を立てたミヤマホウジロも参戦。
* * *
窓越しに鳥たちを見ているだけで時間が過ぎる。
冬だからこその楽しみ。

2022年1月

今週のクロイツ

キーンと音がしてくるような
厳しい寒さが続きます。
雪もよく降るし
道も凍っています。
最高気温がプラスの日は
それがたとえ1度でも
今日は暖かいね、とうれしくなる。
森の中で落ち枝を集め
鉈で焚きつけを作り
薪ストーブの火起こしも
ちょっとうまくなりました。
山暮らし、2年目の冬。
淋しくない?
とよく聞かれます。
う~ん、
山の暮らしは刺激がいっぱい。
寂寥とは無縁です。
今のところは、ね

2021年11月

今週のクロイツ

この秋は9月の終わりごろに
かなり気温が下がり
紅葉が早いと思っていたら
案外長い秋となりました。
それでも今はカラマツの金色の雨も止み
葉を落とした白樺やズミの木についた
ヤドリギが目立つ季節です。
鹿の池を見下ろす高台は
去年、初めてこの場所を見つけたとき
なんて素敵なビューポイントだと
小躍りするほどうれしかったのですが
今年からは天空カートの導入路になって
秘密の場所ではなくなりました。
おそらく、最初から秘密の場所では
なかったのでしょうけれど。
ここに立つと鋸岳、甲斐駒、北岳が
遮るものなく見渡せます。
朝の散歩コース、ベンチに座って息を深々と吸う。

2021年6月

今週のクロイツ

どっぷりと山暮らしに浸り
エレメンタルワールドにくるまって
過ごした春
のんびりゆっくり
なんとか初夏まで来たところ、
約2カ月ぶりに名古屋へ戻ってきました。

驚いたのなんのって!!!
植物たちの旺盛な生命力
アプローチは蔦に覆われ
伸び放題の広がり放題
まあ、これを世間では
荒れ果てた庭と呼ぶのでしょう。
山では近くの林に天南星属を見つけ
感嘆していたところ、
敷地内にもマムシグサの一群が。
紫の仏炎苞を縁取るように広がる葉
その姿はちょっと不気味
でもなんとも蠱惑的!


2021年3月

今週のクロイツ

仕事の都合もあって、
少し前から愛知へ戻っています。
桜はすでに満開!タンポポどころか、
蔓桔梗にシャガまで咲いています。
ところでちょっと前の
山カフェ(NHKラジオ)で
スプリング・エフェメラルとして
カタクリの名前が挙がっていました。
毎年、我が庭の片隅に顔を出すカタクリは
花が終わると、影も形も消えてしまうことに
少々、疑問を感じていたのですが、
カタクリは、スプリング ・エフェメラル
なるほどと納得しました。
明日はBFRP東海の植物観察会
久々の東山植物園に出かけます。
カタクリやイチゲ、フクジュソウなど
儚い春の妖精たち~
たくさんのスプリング・エフェメラルと会えますように。


2021年2月

今週のクロイツ

寒い!寒い!!
どこにも出かけず、家の中でぬくぬくしていたら
灯油の減り方、薪の減り方の速さに愕然とし、
これでは光熱費倒れになると
ぐうたら生活を反省。

自家発電をするしかない。

というわけで、朝起きるとストーブに
スイッチを入れる代わりに
熱々のハーブティーの入った小さな水筒を
ポケットに突っ込んで、昇り始めた朝日と一緒に
一時間ほど歩きます。
道の端には、よけた雪が凍って岩みたいに並んで転がっています。
林の中は、降り積もったラーチの葉がふかふかで歩くのが楽しい。
靴が大地とお話ししているみたいです。
薪ストーブの焚きつけ用に、小枝や松ぼっくりを拾い集める帰り道
寒さはとっくにどこかへ飛んでいます。
ただいま!
家の中に火の気がなくても、自家発電成功!!

今週のクロイツ2

寒いのは覚悟していたから
たとえマイナス15度だって
なんとか受け入れられる。
でも、日差しが明るいのに
なぜこんなに気温が低いの?
おひさまは
光と同時に熱のはずでは?
これが山のスタンダード?
もちろん、三寒四温
真冬並みに寒い日があるのは、
どこに住んでも当たり前。
でも、でもね。
この圧倒的な振り幅の大きさは
知らなった。
いくつになっても
新しいことに出会うと、軽いショックがある。
(ラーチの高い梢に鳥の巣、見つけた!)


2021年1月

今週のクロイツ

あけまして おめでとうございます
八ヶ岳南麓
山の暮らしが始まりました。
月明かりに目が覚めて
窓を開けると
凍る夜気
カラマツの枝にとまる星々
まるで東山魁夷
「星の夜」の世界
描かれている木は、
カラマツではないけれど。
静寂と闇の深さに抱かれて
眠る聖十二夜。

今週のクロイツ2

朝、窓を開けると一面の雪景色。
冬木立のなかで
餌を求めるリスや鳥たちを見て
大急ぎで紙箱で
バードフィーダーを作り
デッキに括りつけました。
待つこと、数分
まずやってきたのは
小さなヤマガラたち。
雪は、お日様が顔を出すと
魔法が解けたように消えていきましたが
餌箱には、入れ代わり立ち代り
シジュウカラ、ゴジュウカラ
ウソ、シメ、イカル...
寒い日は、部屋の中から日がな一日
バードウォッチングです。

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